レティシア書店での展示が始まる前、過去作品を押入れから引っ張り出して、どの作品を展示するか選定しました。
描いたことを忘れていたような作品や、人には見せられないような凡作がいっぱい出てきました。

そして、今週の日曜日に、レティシアの搬出に行ってきました。
改めて展示してある10枚の自信作を眺めました。
眺めていると、選定する時に引っ張り出してきた、多くの凡作のことを思い出しました。
そして「あの多くの凡作があってのこの10枚なんだなあ」と思いました。
満足できる作品を作るために、時には自己嫌悪に陥ったり、迷ったり、悩んだりしながら凡作を積み上げてきました。
飾ってある10枚が、多くの凡作の末に生まれたことに気づかされたのです。

そう思うと、下手で人にはとても見せられない凡作たちが、かけがえのないものだと思えてきて、
大切にしたいと思いました。

絵を描いていると、成功した作品だけに目が行きがちです。
制作者としては自信作を自分の実力と思いたいし、自信作を超えたいと思います。
自信作ばかりできれば、それが1番良いし、常に向上したいと思います。
でも、自信作を作るためには、凡作を積み上げるしかないと思います。
1枚1枚全力で描き、できた凡作と向き合うのです。
凡作の山の向こうにしか自信作は生まれないから、できるのが凡作でも、描いて描いて描き続けることだと思います。

少なくとも、僕にはそれしかないと思っています。

レティシアの展示を終えて、そんなことを思いました。