君の名はを見てきました。
今更ですが、このブログで感想を書きたいと思います。

よく比較されることかもしれませんが、僕は宮崎アニメと比較しながら見ていました。

新海アニメは、理想化されたアニメーション表現と心理描写のうまさが特徴だと思います。
クリーンで美しい絵で、温度感や光の表現が上手いと思いました。
その光とか、温度感がキャラクターの心理を助長していて、キャラクターに感情移入をしながら見ていました。

一方で、宮崎監督は、感覚的な部分の表現が豊かで、汚い部分や個性的なキャラクターを使って、豊かなアニメーションを作っていたように思います。
例えば、トトロのメイが裸足で走るシーンでは、足の裏の感覚が伝わるように感じました。
千と千尋のカオナシのゲロとか、もののけ姫のおっこと主のウニョウニョなど、汚いものをうまく構成要素として使っている点も、宮崎アニメの特徴のように思います。

作家にとって、人生のどの時期の体験を大切にしているかが、この二者の違いの背景にあるような気がします。

新海監督は、中高の心が大きく揺れる思春期あたりが記憶に強く残っているのだろうと思いました。
理想化されたいわゆるマンガ的な表現も中高生がよく描く描法だし、恋愛に最も関心があるのもこの時期だと思います。

一方、宮崎監督は、裸足で走ったり、泥遊びをしたりした幼少期の体験がバックボーンになっていると思います。

トトロの毛並みは、僕には初めて子犬に触った時のふわふわ感を思い起こさせました。
子供の頃感じていた世の中の不思議や、子供なりの心の変化などを克明に表現できるのは、宮崎監督が子供の頃の体験や感覚をとても大切にしているからだろうと思います。

両者、ともに素晴らしいアニメ監督だと思います。

新海監督の作品を見て、これからの日本のアニメ界を牽引するのはこの人だと思ったし、君の名はを見て、改めて宮崎監督の凄さもわかりました。