兵庫県の西宮市大谷記念美術館で開催されていた、ボローニャ絵本原画展を見に行ってきました。

子どもの本専門の国際見本市ボローニャ・チルドレンズ・ブックフェアでは毎年、絵本原画のコンクールが行われていて、世界各地から多くのイラストレーターが作品を応募しています。

そのコンクールで入選した作品が、イタリアのボローニャをはじめ、世界中で巡回展示されます。
その会場の1つが、大谷記念美術館です。

世界中のイラストレーターが出展しているので、その国々のお国柄が出て面白いです。

例えば、中韓は水墨が多く、イランなど中東の国は黄土、茶などアースカラーが多いように感じます。
イタリアやフランスなどヨーロッパは、色がオシャレなものが多いです。

技法の面で言うと、デジタル作品や混合技法が主流になってきているようです。
そして、デジタル技法を使っている作品の多くは、デジタルで手描きの良さを表現しようとしているように感じました。

後から修正の効くデジタルと、多種多用な表情があるアナログの両方の良さをいいとこ取りしようとしているのだと思います。

絵には、3つの要素があると言われます。
色・形・マチエール(絵肌)です。

アナログ作品は、後から修正することが難しい技法です。
その分、デジタルは、多くの場合後から修正することが可能です。
また、新しい技法なので、使い方次第で、誰も見たことがない新鮮な作品が作れるツールでもあります。

ただ、デジタルの弱点は先ほど書いた絵の三要素の内、マチエールが表現できないことです。
デジタル作品は、ディスプレイか、印刷媒体なので、アナログのように、盛り上げたり、部分的にツヤを出したり、マチエールを豊かにすることが難しい技法です。

絵本にする場合は、すべて印刷媒体なのでデジタルは強いのですが、展示に関しては、マチエールの分アナログが強いと感じました。

今年の西脇市の展覧会は終わりましたが、毎年やっているので、イラストに興味のある方はオススメです。
西日本では大谷記念美術館、東日本では板橋区立美術館でやっています。

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(渡辺アンヤラット作 「トビウオ、待て待て。」会場入り口巨大ポスターより)