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このブログでは、私の活動や作品・本・映画などの紹介、そして美術や動物などの豆知識などをほぼ毎週アップしています。

今日は、私が絵を10年以上描いてきて、すごく役立った上達法を書いてみたいと思います。
少し長くなると思いますが、最後まで読んでいただけると嬉しいです。

*今回は、抽象画や、デフォルメ(単純化や強調・歪める事)された絵やイラストと言うより、上のようなデッサンやベーシックな水彩画などを念頭にお話します。

私は画塾(大学実技試験のための予備校)時代に、デッサンが下手で、しかもなかなか上達しませんでした。浪人生の頃、後輩の現役生たちがどんどん上達して、ゴボウ抜きにされました。
大学時代、他の同級生達がすごく上手で、私は落ちこぼれに近い状態でした。

今、私は絵が飛び抜けて上手ではありませんが、落ちこぼれからの伸び幅は結構大きいものがあると思っています。

そこで今日は、私が実践してきた絵の上達法をお伝えできればと思います。

私の成長の大きな理由は、「問題解決」の本を読んだ事だと思っています。
私は駆け出しの頃、大前研一さんや勝間和代さんなどの問題解決の本をよく読んでいました。本を読んでいるうちに、このノウハウは制作にも応用できるのではないかと思いました。

それからずっと制作のための問題解決方法を試行錯誤してきました。

私の問題解決の方法は
①問題の発見
②問題の分析
③問題の改善
の①〜③の流れで行います。

それでは順にお話しして行きます。

①問題の発見

問題解決の1歩目は、「絵を良くするために、絵の問題を解決すれば良い」と考える事です。
決して、「下手くそだから」「集中ができていないから」と考えないでください。
それは、描いている途中でも、描き終わった後も同様です。

絵を「どこが問題か」「どこを直したら良くなるか」じっくり観察します。

絵は、基本的に
・形
・色
・マチエール(絵肌とも言います。画面の凹凸や素材感だと思ってください)
の3つの要素でできています。

この3要素のうち、どれかに問題がある場合がほとんどです。

この時、「こんな絵描き、絵描き・イラストレーターになりたい」と言う目標があると問題は簡単に見つかります。その作家さんと自分とのギャップを考えれば良いからです。

模写が勉強に良いと言うのも、ギャップが見つけやすいからだと思います。

②問題の分析

①ができたら、それを細かく分解して行きます。
例えば、色に問題があると感じたら、

・配色に問題がある
・陰影に問題がある
・塗り方に問題がある
・色の場所に問題がある
・色が形やマチエールとマッチしていない

などの理由が考えられます。

まずは、どこに問題があるか見つけます。

そして、問題が解決できるまで、どんどん細分して行きます。
例えば、配色に問題がある場合、「この赤が悪い」「色が濁っている」などどんどん問題を細かく具体的にして行きます。

細かくする事で、問題は解決しやすくなります。
この段階では、問題を絞る必要はありません。思いつく限り、問題を書き出し、細分化してください。

③問題の改善

問題を細分化できたら、今度はそれをまず1つか2つくらいに絞ります。

絞る時に考えるのは、

・改善したら大幅に良くなるもの
・短時間で改善できるもの

この2つの軸です。

効果が大きくて短時間で対策できるものがベストです。
程度にもよりますが、大きくステップアップできても、時間がかかりすぎる物はお勧めしません。
それより、短時間で小さな改善を何回も繰り返す方が良いと思います。

次に改善方法です。

改善方法は大きく分けると、2種類あります。

・訓練による改善(時間がかかる)
・工夫による改善(時間がかからない)

例えば、まっす線が引けない場合、練習を重ねてまっすぐな線が描けるようになるのが、訓練による改善です。それに対して、定規を使うのが、工夫による改善です。

問題解決の際は、まず工夫による改善ができないか考えてください。
理由は、その方が短時間で絵が良くなるからです。

よく、「絵の基礎はデッサン」と言います。
でも、受験のために毎日画塾に行ける受験生はともかく、他にお仕事をされていて、仕事もプライベートもお忙しい社会人が、休日やプライベートの時間を削ってデッサンの勉強をするのは大変だと思います。

デッサン力を鍛えるのは時間がかかりますが、「形が取れない」「陰影が的確につけられない」と、問題を細分化すれば、デッサン力をつけなくても、デッサンは改善できます。

例えば、これは賛否が分かれますが、トレース(写真などを転写する事)と言う方法があります。
トレースには否定的な人もいますが、私はありだと思っています。
正しい線に色を付ける事は、良い経験になります。
また、あまり得意でないジャンルの仕事が来た時、下手な絵を描くより、完成度の高いトレースを提供した方が良い場合もあるからです。

他にも、写真を見て描くと言う方法もあります。写真なら、グリッド(升目のこと)を写真と紙に書いて、形を目安にする事もできます。グリッドを描く事で、形の大きな狂いがなくなります。

カメラで白黒写真を撮ると、どこが暗く、どこが明るいかが分かり、陰影をつける際の参考になります。

このように、実は工夫次第で、絵はずいぶんと改善できます。

工夫を重ね、絵がよくなると、モチベーションも高まります。
そうして、楽しくどんどん絵を描いているうちに、いずれグリッドなしでデッサンが描けるようになったり、定規なしで、まっすぐな線が描けるようになります。

つまり、良い絵を描けるようになってから、それからうまくなれば良いと思うのです。

まとめ

以上が、私の考える制作における問題解決の方法です。

私の問題解決は、①問題の発見して②問題の分析する。そして③問題を改善する、と言う物でした。

この方法を使えば、階段を1段1段上るように、確実に前進して行けると思います。

私は、元々本当に下手くそだったので、「下手でもうまく見せるか方法」のノウハウは沢山持っています。「描きたいけど描けない」「上達しない」と言う人の苦しみもよく分かります。

そんな、絵で悩んでいる人にとって、少しでもヒントになれれば幸いです。

このブログでは、私の専門であるイラストの事や画材のこと、本や映画の紹介、モチーフとしてよく描いている動物や植物の事などを書いています。

ほぼ毎週新しい記事を書いているので、チェックしていただけるとありがたいです。

それでは、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

参考文献

(大前研一「考える技術」講談社 2004年)
(渡辺健介「世界一優しい問題解決の授業」ダイヤモンド社 2007年)
(佐藤オオキ「問題解決ラボ」 ダイヤモンド社 2015年)
(安宅和人「イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」英治出版 2010年)
(冨田和成「鬼速PDCA」 株式会社クロスメディアパブリッシング 2016年)